読書レビュー⑤~隠れ増税~

書名-隠れ増税

著者-山田順

出版-青春新書

 

著者紹介

「女性自身」編集部、「光文社ペーパーバックス」の編集長を務めた現在フリーライター

 

内容

主に現在の日本の税制とこれまでの推移(主に増税の)を説明している。

冒頭で国民負担率という税金だけでなく、年金なども含めた総合的な国民の公的負担を示し、日本の負担が世界的にも高いことを紹介。

 

そのうえで、所得税相続税・不動産課税など具体的な内容を検証し、現在の日本の税制がいかに増税方向に向かっているかを紹介している。

 

著者は本書の中で「増税がいかに日本を蝕むか」も合わせて説明したがっているように感じられたが、残念ながらその点については十分に伝わってはこない。

あくまで「日本の財政は結局悪くなるんだろうな」と思わせる程度。

 

一方で、所得税相続税・不動産課税などの個別の話はコンパクトにまとまっており、過去からの推移も含めてわかりやすい。増税方向に向かっている現状をハッキリと理解できる点で非常に良いと思われる。

但し、ページ数の問題なのか何か所か説明を省いていると感じられる部分も見られた。

 

とはいえ、学者の書く本に比べて読む側にわかりやすくなるように心がけられている印象は強く、特に税務などに詳しくない人が日本の税制の方向性を知る上での入門としては良い本だと感じる。

 

但し、書名から連想される節税などについては、本書の中でも記載はあるがあまり内容はない。残念ながら簡単な紹介があるだけで、この本を読んで実践するというわけにはいかないだろう。