モノ言う株主とは
どうも、ナルダルです。
最近、昔聞いたことのある「モノ言う株主」という言葉を改めて聞くようになってきました。
日本では村上ファンドが有名です。
これらの「モノ言う株主」に対するイメージは、少なくとも日本においては悪いイメージしかないと言ってもよいかもしれません。
しかし、よく考えてみれば「株主の権利」とはどういったものがあるのか、あまりよくわかっていないことに気づきました。
というわけで、今回は「株主の権利」と「モノ言う株主」について。
1.株主の権利とは
まず株主の権利というものを見直してみます。
①株主の基本的な権利
株主の基本的な権利としては以下の3つがあります。
・剰余金を受け取る権利
・株主総会で議決権を行使する権利
・解散した際に残余財産を受け取る権利
・剰余金を受け取る権利
これは一般に配当金を受け取ることを指します。
剰余金とは税金などを支払った後の利益であり、文字通り「余ったお金」です。
これは一定期間に行った事業活動で生まれた利益を出資してくれた株主に還元するという趣旨のものであり、株主にすればお金を出したのだから、利益の一部をくれても良いだろうということになる。
・株主総会で議決権を行使できる権利
株式会社の最高意思決定機関は「株主総会」です。
一般に「社長」が一番偉い、と思われますが、実際に一番偉いのは「株主総会」。
その「株主総会」において、議案に投票できる権利を「議決権」と言います。
そして、この議決権は保有株数に比例するので、株を多く持っている人ほど発言力が大きいということになります。
株主総会は基本的に多数決ですから、単純に言えば全株式の半分以上を持っていれば、何でも決められるわけです。
それこそ社長をクビにして、別の社長を選ぶこともできる。
そういう意味で一番偉いのは、「株主総会」なのです。
とはいえ、中小企業などでは社長が株式の大半を持っているケースが多いので、「社長が一番偉い」という場合も多いのですが。
・解散した際に残余財産を受け取る権利
これは配当金と同じような考え方ですが、仮に会社を閉めた時に余ったお金を受け取れるというものです。
まあ、これは最後の話なので、上場企業への投資の時に考える人は少ないと思われます。
②株式比率でできることは変わる
先に挙げたのは、株主であれば誰でも持っている基本的な権利のことですが、株式会社の仕組み上、株式は持っている数が多いほど相対的な力を増していくものです。
ここでは株式の保有比率によって変わる権利を挙げてみます。
75%以上
株主総会の特殊決議を単独で成立可能
決議事項の例:全部の株式についての譲渡制限を定款に記載
66%以上
株主総会の特別決議を単独で成立可能
決議事項の例:事業の全部譲渡,定款変更など
50%超
株主総会の普通決議を単独で成立可能
決議事項の例:取締役の解任,剰余金の配当など
50%以上
株主総会の普通決議を単独で阻止可能
25%以上
相互保有株式の議決権停止
10%以上
解散請求権
3%以上
総会招集請求権
役員の解任請求権
業務財産検査役選任請求権
会計帳簿閲覧請求権
1%以上
会計検査役選任請求権
1%以上
もしくは
300個
株主提案権
いかがでしょう?
色々ありますが、重要なのはやはり50%以上です。
50%以上、つまり「過半数を取れば何でもできる」というイメージは嘘ではありません。
しかし、3%や10%でも経営側にプレッシャーを掛けることはできます。
株主としての力をフル活用すれば、かなり経営者サイドにプレッシャーを掛け、場合によっては配当の引き上げなどの果実を得ることも可能です。
2.モノ言う株主
①モノ言う株主とは何か?
・モノ言う株主とは
モノ言う株主とは何でしょうか?
ここでモノ言う株主に言及する前に、そもそも「モノ」とは何か?
ここでいう「モノ」とは「意見・要求」のことを指します。
つまり、モノ言う株主とは、会社側・経営者側に意見や要求をハッキリという株主ということができます。
・モノ言う株主の主張
ちなみに、その「意見・要求」とはどういったものがあるのでしょうか?
・配当金、株主優待の引き上げ
・自身の経営参画要求
などが代表的なものでしょうか?
特に配当金は株主の利益に直結しますし、配当金引き上げは株価自体の上昇にも貢献するので株主であれば反対する理由はありません。
・モノ言う株主の目的
それではモノ言う株主の目的は何なのでしょうか?
これは誰もが同じではありません。
単純に「配当金が不当に低い」「株価を上げる施策を取っていない」という理由で、それを是正する目的の人もいれば、安いうちに買って、色々要求して株価が上がったところで売り抜けることが目的の人もいるでしょう。
2.モノ言う株主は正しい存在か、間違った存在か
モノ言う株主については、新聞・報道などを見ても、どちらかというと悪者のイメージが与えられます。
誠実に経営している会社に金の亡者が配当金だの何だのと要求をして、株価を引き上げた上で売り抜けて巨額の利益を得るのだと。
確かにそういう側面があるのは否定できません。
しかし、モノ言う株主がやっていることは、そもそも違法ではありません。
配当金の要求などは株主の当然の権利ですし、優良な企業が不当に株価を抑制する施策を取っている場合は、確かに株主の利益を意図的に害していると言われても仕方ありません。
では、何故批判されるのか。
それはひとえに「結局、自分が一番利益を持っていく」んだろうというイメージがあるからではないでしょうか?
実際、そうである場合も多いでしょうし。
ただ、先にも言った通り、別に悪いことをしているわけでもないし、間違った存在ではない、と自分は考えます。
最後に・・・
先に見たように、株式会社の世界では株式比率が高いほど影響力を行使できます。
上場企業でもそれほど大きくない会社の株式ならば、地味に買っていけばそれなりの株式比率にすることも夢ではないかもしれません。
自分はいつか関西地盤の企業の株を買って、ちょっと経営側に気にされるレベルになりたいな・・・なんてことを思っていたりします。