銀行カードローンのせいで自己破産が増えている?
個人の自己破産が増加しているという記事がYAHOO!トップに出ていた。
「個人の自己破産、前年比で6.4%増 カードローン影響か」という題名だ。
内容としてはおおむね以下のような内容だった。
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・自己破産が2016年から増加に転じている
・2015年も前年比増加したが、2016年になってペースが上がっている
・カードローンの残高が2012年頃から銀行カードローンが急増している
・総量規制の対象外である銀行カードローンの残高増加が原因であると指摘されている
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ここで、実際グラフも付けられていて、なるほど銀行カードローンの残高がものすごく増えていることはよくわかる。
とはいえ、不思議なこともある。
銀行カードローンが急増しているのは確かにそのようだけど、自己破産のグラフは同じように増えていないよね?ということ。
普通「相関関係がある」というように言うなら、増加するペースが同じようになっているのではないか。
というわけで、自分で調べてみました。
で、自分なりに調べてデータを並べたのが、以下の表。
どうだろうか。
自分としては、「消費者金融と銀行ローンの合計と破産件数がある程度リンクしている」ように感じているのだが。
ちなみに、銀行の借入はカードローンだけではなく、住宅ローンや自動車ローンなども含んだいわゆる消費性ローンの合計だ。
こう見ると、「銀行カードローンが急増しているから自己破産が増えている!問題だ!」と簡単なものではないのではないか。
まあ、無関係ということもないかもしれないが。
銀行に勤めてた時に、顧客の破産は何回も経験したが、その原因は借入返済や支払いができないからというのが直接の要因ではあるけど、そもそもの要因は「売上減少」や「利益減少」がほとんどだった。
そう考えると、個人の破産も「収入が思うように入っていない」か「生活費が上昇して苦しい」かではないかと思う。
よく考えればわかるが、 たとえ家電や自動車を買うにしても、手元に十分な資金があればローンを使おうと考える人は少ないはずだ。
「買いたいけれどお金がない」時に使うのがローンだとすれば、そうなってしまっている原因を解決しないで、銀行カードローンだけ規制しても他の方法に流れるだけだろう。
こういう規制をして、例えば消費者金融も銀行も個人カードローンを推進できなくなったら、果たして今度はどこが伸びるのだろうか。
P.S.
表を見てもらうとわかるが、個人の借入残高も自己破産件数も10年くらいでそれぞれ半分近くまで減少しているのだから、それはかなりの改善と言えるはずで、その点に一切触れないのはフェアじゃないような気がします。
ちなみに確証があるわけじゃないので、勝手な考えだけど、もしかして自己破産が減少している要因に、「カードローンで資金繰りが回っているから」なんてのがあったりして。一時に比べると、金利は下がったはずだし。