アメフト悪質タックル事件の加害者会見は現在では最高の防衛手段だったのでは

どうも、ナルダルです。

 

日大アメフト部による悪質タックル事件。

かなり影響の広がりを見せています。

 

そんな中でタックルを実際に行った選手が記者会見を開きました。

若干20歳という若者。当然ですね。大学生ですから。

 

そんな若者が自身を加害者として記者会見を受けるだけでもすごいこと。

 

ただ、自分はこの記者会見、このご時世では非常に高度な防衛戦術で、かつ法廷闘争を想定しても高度な場外戦術になったと思います。

 

今回はその点について。

 

1.記者会見で加害選手が得られたものは

加害選手は「被害者サイドへの謝罪」と「真実を明らかにする」という目的で記者会見を開いたことを明確に言っております。

 

そして加害選手は「監督・コーチからケガをさせるよう指示を受けた」「指示があったにせよ、自分でやらない判断をすべきだった」と証言しています。

また、「アメフトはもうやらない」「やる権利もない」と言っていました。

 

この会見を見た人は、ほとんどの人がこう思ったのではないでしょうか。

 

「可哀想」

「学生の立場でここまで追い込まなくても」

「監督・コーチが悪いんだろ。こいつはそんなに悪くないじゃん」

 

と。

 

正直、自分もそう感じました。

 

そして、これがまさに今回の記者会見の最大の目的だったのではないでしょうか?

 

会見の中で弁護士が「法的責任に影響するから」という理由で質問をさえぎる瞬間もありました。

つまり、現状関学サイドの訴訟提起を受けて、それへの対応を強く意識しているわけです。当然ですが。

 

そして、おそらく普通にやれば加害選手は監督・コーチの指示があったにせよ、無実とはならないでしょう。

 

しかし、この会見でおそらく社会的なムードは変わりました。

 

この状況で関学サイドが強硬に、この選手を相手に訴訟を継続したら、どうなるでしょうか?それもこの選手の罪が大きくなるような形で進めたら。

 

おそらくですが、「大人げない」「子どもをつぶしに行かなくてもいいだろうに」と風当たりが強くなる可能性があります。

 

なんとなく、予想ですが、今後この加害選手をターゲットにした訴訟などは進まないのではないかと思います。

逆に日本大学や監督・コーチの罪を問えるような形に姿を変えていくと予想されます。

 

この記者会見で、加害選手は「社会的な制裁」を受けた形とはいえ、逆に「社会的な許し」と「訴訟での厳罰を回避」できる可能性を得たのだと思います。

 

2.危機管理の巧拙

今回の記者会見を通じて、ネットなどでも書かれていますが、日本大学の危機管理の稚拙さが際立っています。

 

内田監督からどういった証言を得ているのか知りませんが、社会的には「監督の指示」ということで、強い逆風を受けている状況で、内田監督をなかなか表に出さず、出しても言い逃れているような印象を与えています。

 

その結果、本来なら監督やコーチが叩かれるだけで済んだはずのものが大学自体が攻撃される事態に陥り、大学の社会的なイメージの大幅な低下につながっている。

 

昨今、企業などの不祥事も多々起こっており、その対応法も研究されていますが、今回の日本大学の対応は今までのところ、かなり悪いと言わざるを得ないでしょう。

 

現実的な話をすると、来年以降の受験者・入学者の減少やスポーツ推薦での学生の獲得が困難になることなどが想定されます。

だって何かあっても学生を守らない大学ってイメージが付いてきてますからね。

 

内田監督が大学内でどのような立場であろうと、総合的に考えれば建前だけでも早く切るべきだったと言わざるを得ません。

 

一方で、加害選手側の代理人は、今回の記者会見でむしろ加害選手を「可哀想な子」というイメージにさせることに成功しました。

これで加害選手への社会的な風圧は一気に弱まるでしょうし、矛先は更に日本大学・アメフト指導陣に向かうことは間違いありません。

そういった意味では、未成年に近い学生を顔出し・実名出しで記者会見に出させた弁護士の危機管理についての意識の高さが際立ったと言えるでしょう。