読書レビュー④~老いない人は何を食べているか~

書名-老いない人は何を食べているか

著者-松生恒夫

出版-平凡社新書

 

著者

消化器系の専門医。

老いない腸をつくる」「オリーブオイルで老いない体をつくる」「腸はぜったい冷やすな!」など、主に腸の健康に関する本を出版。

 

内容

本書の中では、主に腸の健康を維持することを主眼とした食事のあり方を見ています。

 

そういった観点で「和食」や「地中海料理」の有効性を語っており、著者は「地中海式和食」を推奨している。

 

腸の健康を維持することは、「癌の発症リスクを下げる」「皮膚年齢を若く保つ」「健康寿命が延びる」「生活習慣病を抑制する」といった効果があると謳っており、事実それは研究でも実証されているそうだ。

 

実は本書冒頭では、「マクロビオティック」に関して触れられている項目が多く、例として登場する人物たちもかなり徹底したベジタリアンが多かったことから、私は「ああ、この本はベジタリアンかもしくはマクロビオティックに最終的に落ち着くのではないか」と思ったのですが、実際は著者も「ストイックすぎてもストレスがかかる」ということで、そこまでの提案はなされていません。

 

さて、本書で推奨されている「地中海式和食」というのは、端的に言えば「減塩し、砂糖少なめにし、オリーブオイルを活用した和食」という言い方ができそう。

 

特に本書の中で強く勧められているように感じられたのが、主食としての「麦めし(もち麦)」「エクストラバージンオリーブオイル」です。

 

麦めしについては、従来の日本人の主食として食されていたことを紹介しつつ、その時期には生活習慣病や大腸癌の発症件数は極めて低水準であったことを明かし、白米と合わせて食することで、栄養価及び腸内環境への改善に資する、としています。

 

また、オリーブオイルについては、著者は他の著書も書くほど評価しており、様々な料理(主に野菜や魚)での利用を勧めています。「全粒紛のパスタ、トマト、エクストラバージンオリーブオイル」に「ニンニクやバジル」を入れて作るトマトパスタは最強のファイトケミカル料理とまで評しています。

 

こういった健康食系の著書は、正直かなりストイックに臨まなければいけないこと、一般的な外食ではなかなか実現できないことなどもあり、なかなか現代の日本で実現するのは困難なことを書いているケースも多いのですが、本書は比較的取り組みやすそうな話が多い。

 

もちろん、書いていることすべてを実践するとなると、かなり食生活の切り替えを求められると思いますが、上に挙げている「エクストラバージンオリーブオイル」を食生活の中に取り入れることや「麦めし」を取り入れることだけなら、それほど難しい話ではないと思われます。

 

本書は、おそらく極めて深刻に腸の健康に悩んでいる人も、特に気になっていることはないけど将来的なことを考えているという人も、幅広く対象とするように書かれたものであり、読者各自が置かれた立場や状況に応じて取り入れる度合いを決めていけば良いように書かれている印象だ。

 

現時点で深刻なら全体的に切り替えるべきだろうし、将来のことを考えている人ならまずはオリーブオイルくらいの変更でも効果はきっとあるのだろう。

 

自分もエクストラバージンオリーブオイルをもっと積極的に活用していくようにしようと考えた。

 

現時点で特に腸の健康に不安のない方も読んで損はないだろう。

 

但し、一つ読んでいて、食事の例を何ページにもわたって羅列する箇所が複数あったが、あれはもう少しコンパクトにした方が読みやすいと感じた点が残念だった。

確かにすべて詳細に記載する方が親切なのだろうが、新書で読んでいる読者はおそらくそれほど詳しくないし、もしかしたら興味もそこまで強くない人が軽く手に取っているケースも多いだろうことを考慮に入れると、せめてその羅列の中で「いいもの」「悪いもの」が分かるような印を入れるなどの工夫がほしかった。